やさしい手のひら・後編

でも健太は私を降ろそうとしない

何も言わず裏口からホテルに入って行く

ふと思い出す

新くんが探しているんじゃないかって…

こんな姿を見たらまた新くんを苦しめてしまう

新くんが気になるのに、私は抱えられたまま、これ以上抵抗はしなかった

何階に来たのだろうか

エレベーターから降りて部屋に入って来た

そしてそのままお風呂場に入り私を浴槽の縁に座らせた

「染みるけど我慢して」

「痛いっ」 

ぬるま湯で膝にシャワーを掛け、血と砂を洗い流してくれる

私は自分の膝を眺めていた

目の前にいる健太を見れなかったんだ

目が合ってしまうと私の気持ちがまた揺らいでしまうから…

だから健太の顔も目も私はまだ見ていなかった

このまま目を合わせないでここから出よう

今、私が新くんのために出来ることは早くここから出ることしかないから…