やさしい手のひら・後編

健太の香水の匂いが私の鼻を通る

会いたくない

でもすでに健太は私の腕を掴んでいた

もう話すことなんてない

「離して」

私は健太の顔を見たくなくて冷たい口調で言っていた

「膝から血が出てるだろ」

「このぐらい大丈夫」

本当は痛いけど、私は弱さを見せたくなくて強がっていた

「膝の汚れ落としに行こう」

「キャッ」

私を軽く抱き抱えた

「降ろして、降ろしてよ」

「痛いんだろ」

私の心を読んでいるかのようにフッと笑う

「新くんが待ってるの!だから降ろして」

私が言っていることを聞いてくれない

そして私は久しぶりに抱えられた健太の腕や匂い、そしてすぐ上を見るとある健太の顔にドキドキしていて、それが健太に聞こえていないか心配になった

胸が張り裂けそうなぐらいこの空間が懐かしく、切なさが蘇る

懐かしさに溺れ、泣きそうな自分がいる

「お願い…降ろし…て」

それでも健太と今一緒にいることはやっぱり辛かった