やさしい手のひら・後編

Blacksみんなの挨拶が終わり、ワインで乾杯をし、それぞれみんな自由に動き出した

私は新くんから逸れないようにしっかり手を握っていた

「新じゃないか?」

後ろから男の人の声が聞こえ、私と新くんは振り向いた

「お久しぶりです」

新くんは敬語で挨拶をする

さっき挨拶していた社長・・・

健太達の事務所の社長だった

新くんと社長は知り合いらしく私のわからない内容の話を始めた

私は一緒に聞いてはいけないような気がして、

「ちょっと行って来る」

「どこに?」

私は新くんの耳元で

「トイレ」

「すぐ戻って来いよ」

「うん」

業界の話なのか新くんも社長も話に夢中だった

「どこだろ?」

私はトイレがどこにあるのかキョロキョロしながら探していた

「あった」

やっと見つけて私はトイレに入った

あまりの人の多さに頭がボッーとしていた

外の空気が吸いたくて私は今通って来た場所に戻ろうとしたが、中庭があったのでそちらの方に歩いて行った

中庭の真ん中には大きな噴水があり、私は噴水の前のベンチに腰を掛けた

「はぁ」

無意識にため息が出る

緊張が解れて気分もかなり楽になった

噴水から出る水しぶきが私の頬に当たる

その冷たさが気持ち良くて、さきほどまでの苛立ちや、罪悪感を冷ましてくれた