やさしい手のひら・後編

「どうしよう」

このままだと電話は切れてしまう

私は咄嗟にボタンを押した

「・・・はい」

「俺・・・」

もうだめだ

涙がいっぱい目に溜まっていく

「一人?」

「う・・・ん」

泣きそうなのを健太にばれないように手で口を塞ぐ

健太の声が私の耳に入ってくる

懐かしさで胸が痛くて、苦しくて・・・

「今日、ちゃんと言えなかったから・・・」

えっ・・・

「誕生日おめでとう」

そう言われた瞬間、堪えていた涙が溢れ出した

こうやっていつも突然で、私を闇の中から引きずり出す

「二十歳だよな。隣にいてやれなくて・・・ごめんな」

もう・・限界だった

「どうして・・・どうして・・・」

泣く私の声が部屋中に響いていた

「もう切るな」

「待って・・・よ。ずるいよ。健太はずるい・・・」

「もう電話もしないし、話しかけない。だから幸せになれ」

こんなのずるい。一方的にしゃべって、私をまた思い出させて・・・

「泣くなよ・・・」

健太の声が震えていた