やさしい手のひら・後編

「健…太」

入口で私の名前を呼んだのは健太だった

「ハアハア」

健太の苦しそうな息遣いが教会に響き渡っている

「亜美・・・」

「どうして・・・」

こんな大事な日にどうして…

どうして来たの…?

「亜美、俺と行こう」

私は言葉が出なかった。頭の中が真っ白になっていた

健太のことはもう心に閉まったのに…

どうして私の心を開こうとするの?

この二年、私がどんな思いだったか…

それなのに私の胸は高鳴り、鼓動が激しく脈を打つ

健太を見ただけで、私の涙は我慢することなく溢れ出そうとしている

こんなにも私の心は正直で健太の姿を見ただけで胸が熱くなっている

気持ちと裏腹に心は健太を忘れていなかった

でも私はもう…

自分の歩むべき道を決めたの…

すべてのことが遅かった