やさしい手のひら・後編

行かなきゃ…

緊張のせいなのか足が震えている

「大丈夫ですか」

係の人が私を心配して声を掛けてくれた

「大丈夫です。緊張してるだけです」

「そうですか。では行きますね」

部屋を出て教会の入口に歩いて行く

「お父さん…」

お父さんが入口の前で私を待っていた

「亜美、きれいだぞ」

「お父さん…」

「せっかくきれいなのにここで泣いたらだめだ」

「だって…」

「これから幸せになる奴が泣いてどうする」

お父さんの背中がとても小さく見えて、目が真っ赤なんだもん

きっと泣いてたんだよね

「お父さん…今までありがとう」

胸がいっぱいになり、私はすでに涙を流していた

「ほんとに小さい頃から泣き虫だな」

純白のハンカチをそっと出し、

「亜美の涙を拭くのは今日で最後だぞ。次からは亜美の涙を拭くのは新くんだからな」

嫁ぐことがこんなにも切ないものだと、今わかったよ

「ドア開けます」

私はお父さんの左腕に手を置き、新くんが待つ場所へゆっくりと歩きだした