やさしい手のひら・後編

年が明けてから結婚式の準備に取り掛かり、出席者の名簿を作ったり、引き出物の発注、とにかく決めなくてはいけないことが山ほどあった

「ウエディングドレスなんだけど今週見に行くか?」

「うん」

「お前ならここが開いたの似合いそう」

私の胸元にラインを描きながら嬉しそうに言った

デザイナー兼モデルの仕事もしているため、さすがだな、と尊敬してしまう

「ドレス着るなんて何年ぶりだろうね」

短大の時、モデルの仕事で一度着ていた

「あの時も私の隣にはタキシードを着た新くんがいたよね」

あのままそれが現実になろうとしている

「あの頃の新くん、凄く意地悪だった」

「そうか?」

「憶えてないの?」

「憶えてない」

そう言って笑っている

「あの時は…俺の思いが通じるなんて思ってなかった。お前が今隣にいることさえ、たまに夢じゃないかって思える時がある」

新くん…

「私はずっと隣にいるよ」

そう言って新くんの胸に飛び込んだ

私は新くんからもう離れないよ…

ずっと一緒だよ…