やさしい手のひら・後編

「寒いわー」

由里は背中を丸め部屋に入ってきた

「だから鍋にしてみた」

「おいしそう。お腹空いたからいただくわ」

コートを脱ぎ捨てた由里はすぐにテーブルの前に座り

「ビールないの?」

「あるけど飲む気?」

「そのつもり」

冷蔵庫からビールを取出し由里に渡すと

「ほら、乾杯」

「何に乾杯?」

「みんなの幸せに」

意味がわからない乾杯を二人でして、鍋を囲んだ

「なんか話あったんでしょ?」

「あ、うん」

ちょっぴりドキドキしながら

「私、結婚する」

「はあ?」

由里の箸がピタッと止まり、目を開いたまま固まっている

「私が結婚するってそんな驚くことかな?」

「うん」

「即答だね」

「だって亜美がだよ」

「それ失礼だなー」

「誰とって新くんに決まってるんだけどさ。ちょっと驚いた…」

そうだね、由里は私のすべてを知っている人だもん

今までのこと振り返ったら驚くよね…

「亜美はさ…」

「うん?」

「それでいいんだよね?」