「亜美聞いてくれ」

健太は私の両腕を揺さぶりながら叫んでいる 

「聞いたって私達は結婚…できないんでしょ」

私はここへ何をしに来たんだろう

頭の中が朦朧とする

もう考える力さえなくなっている

「亜美、これから話すことを聞いてくれ」

健太が私の腰に手を回し、教会の敷地内にあるベンチに私を座らせた

「あの日、駐車場でしつこく付きまとうあいつを俺は…力の加減もしないまま押したんだ」

「えっ…」 

「あいつは押された勢いで近くにあった鉄製のゴミ箱に倒れこんで…当たった所が丁度角だった…そして胸元に傷を覆ってしまったんだ」

「そんな…」

「俺は責任を取ろうと思って、なんでもするって言ってしまっていた。そうしたらあいつは、亜美と別れてくれって、そう言ったんだ」

私の知らない所でそんなことがあったなんて…

健太、苦しかったよね

私は健太の気持ちを考えると目蓋は涙で溢れていた