やさしい手のひら・後編

凌に「また来るね」と、行って私は病院を後にした

朝から来て、もう夕方

病院の前の信号に立ち、流れる車の風を浴びていた

ふいに後ろを振り返り、病院を見つめてみた

私はもうここに来ない方がいいのかもしれない

そう思っているのに凌の足が気になってしまう

信号が変わり私は歩きだす

こんなことさえ凌には不便になってしまう

車椅子、もしくわ松葉杖

二本の足で歩けない凌はこの信号が変わる前に向こうへ行けるのだろうか

そんなことを考えていると信号が変わってしまい止まっていた車にクラクションを鳴らされてしまった

走ることも出来ないなんて…

信号を渡り切った私は立ち止まっていた

健全な体の凌がもういないことを思うと辛くて涙が込み上げてくる

できることなら治してあげたい

昔のように息を切らして私のマンションに来た時のように…

走っている凌を思い出す

私は下を向きアスファルトに落ちていく自分の涙を見ていた