やさしい手のひら・後編

唯ちゃんと別れ、ひとり乏しく病室へ向かっていた

どうしたら、どうすればみんなが幸せでいられるのだろう

そんなことを考える

唯ちゃんの思い、凌の思い、そして私の思い

みんなそれぞれ違う誰かを思い、交じ合うことのない思い

俯きながら足は病室へ向かう

トントン

ドアを叩くと中から凌の声が聞こえる

とにかく笑っていなくちゃ

私の顔をじっと見つめる凌

「唯ちゃんと話してきたよ」

「・・・」

黙ってしまった凌に

「唯ちゃん、また来るって」

私は嘘をついた

唯ちゃんの気持ちを知っているのにそのことを凌に言えなかった。でも凌は

「別れるって言ってただろ」

「・・・」

凌は唯ちゃんの考え、わかっているの?

「薄々気付いているはずなんだ。俺、冷たくしてたから・・・」

二人のことは私にはわからない

「俺、唯に会って自分の口から話すから」

「何を話すつもり?」

「別れたいっていうこと」

やっぱり凌は唯ちゃんとの別れを選ぶんだ

「やり直すことできないの?」

「できない」

凌はそうはっきり答えた

私がどうにかしようと思ってもきっと無理なんだろう

凌の意思は今決めたものではなく、事故の前から決めていたこと

だから私はそれ以上、凌を止めることはできなかった