やさしい手のひら・後編

私・・・知ってて気付かないフリをしていたのかもしれない・・・

健太を思う気持ちが優先で凌のことなど頭になかった・・

小さい時から私を支えてくれていた凌

目を閉じると凌との思い出が蘇る

初めて手を繋いだ海の帰り

初めて自転車の後ろに乗った学校の帰り道

初めてしたぎこちないキス

初めて一つになった凌の部屋

初めて大好きな人に裏切られた悲しみ

初めてはいつも凌だったんだよ

それなのに・・・

「凌・・・」

私は凌に駆け寄り、凌の手を握り声を出して泣いていた

そんな姿に誰もが目を伏せる

「亜美・・・」

私の後ろで新くんがポンと肩を叩き

「少し休もう」

私の脇を抱えようとする

「嫌・・・嫌・・・凌が・・・凌が・・・起きるまでここにいる・・・」

「少し落ち着いた場所に行こう」

「嫌、嫌」

私は首を何度も横に振り、凌の手を離さないでいた

「生きて・・・ほしい・・・の。私・・・何も凌に返していない・・・。凌がこんなになってから気付くなんて・・・」

後悔が私を支配する

人はどうして後になって後悔するのだろう・・・

失ってからじゃ遅いのに・・・