微かにも揺れることのない瞳が私を射る。
引き締められた口元からも、意志の強さが露わに見せられて、その勢いに気圧されそうになる。
「この俺が、好きでもない女と結婚するわけないだろ?俺がそんなに情けない男だと思うのか?」
「う、ううん。情けないというより、容赦ないというか……強引というか」
「ふん。自分の気持ちを貫くためなら強引上等だ。それに、いつ、俺が瑠依の事を好きじゃないって言った?」
「えっと……言ってないけど、じゃあ、いつ、好きって言ったの?」
目の前にあった紬さんの顔は、相変わらず近い距離にあって、かなりの怒りを抱えていると、わかりすぎるほどにわかる。
押しの強さには慣れ始めていたけれど、ここまでの怒りを見せられて、戸惑う。
紬さんは、両手をテーブルについて、まるで乗り上げるように体を私に近づける。
私は反射的に背もたれに背中を押し付け、紬さんとの距離をとろうとするけれど、その距離に比例して紬さんの体が近づいてくる。
どうしてこのテーブルはこんなに小さいんだ、どうしてもっと大きい物を使ってないんだ、と意味のない不満を心の中で唱えていると。
しばらく私の顔を見ながらひたすら睨むだけだった紬さんが、ふん、と小さく呟いた。
「瑠依が見惚れてしまうほど整った俺のこの顔が、瑠依だけのものになるんだぞ?とっとと白旗あげて、結婚しろ」
「そんな、無理だよ……」
「無理じゃない。もう四の五の言わずに俺と一緒になればいいんだよ」
「や、やだ……んふっ、ちょ、つ、つむ……」
家庭的な定食屋さんの片隅。
椅子の背もたれに押し付けられるように、紬さんの唇が重ねられ、息継ぎさえままならない。

