彼女は父さんの退院後父さんと入籍し、「葉月彩也子」になると言って、これまでになく幸せそうにしている。
『葉月』という大企業のしがらみに右往左往させられたのは、私や父さんだけじゃない。
彩也子さんだってそうだ。
彼女がいなければ父さんは絵描き以外の道で生きることは難しかっただろうし、私が誘拐されそうになった時も、彼女のおかげで未遂で済んでいる。
父さんと離婚した後に出会った男性と再婚し、会う機会もほとんどない母さんよりも、私に愛情を注いでくれた彩也子さん。
彼女には幸せになって欲しい。
私が紬さんとともに見つけた愛を、彩也子さんも父さんと……そう思いながらも。
私達よりも格段に付き合いの長い彩也子さんと父さんは、既に強い愛情で結ばれているような気もする。
そうであればいいと願いながら、彩也子さんに笑顔を見せると、私の思いを受け止めてくれたように何度も頷いてくれた。
「では、こちらを見てください」
胸に溢れる思いをどうにかやり過ごしていると、カメラマンさんの声が響き渡った。

