写真室のスタッフの女性が私に駆け寄り、足元や襟足、角隠し。
手早く綺麗に直しながら「本当に、素敵な旦那様ですね」そう言ってくれた。
あー、彼女にも、私たちの言葉は聞こえていたんだ。
恥ずかしくて顔を上げられずにいると、隣の紬さんは私とは正反対の落ち着いた優しい声で呟いた。
「今日来られなかったお父さんのために、瑠依の今日一番の笑顔だぞ」
「う、うん」
そうだ。
当然ながら、あれだけの大けがをしてまだ二日しか経っていない父さんが、この場にいるわけがない。
父さんは、式場に来る前に病室に顔を出した私と紬さんに「おめでとう」と言いながらも寂しそうに笑っていた。
交通事故と私の結婚をきっかけに、私と父さんの距離はほんの少しだけ近づいたけれど、親子の絆は相変わらず細くて脆い。
まだまだこれからだ。
親子として素直に時を過ごせるように、これから努力をしていかなければならない。
そっと後ろを振り返ると、涙目の彩也子さんと目が合った。

