そして、ようやく気付いた。
私と紬さんが体を密に寄せ合って甘い空気を醸し出しながら……決して他人には聞かせたくない言葉を交わしていた様子があのカメラに収められた……に違いない。
「や、やだ、恥ずかしい、データ、消して……」
「その写真、是非くださいね」
状況を察した私は、データを消して下さい、と続けようとしたけれど、その言葉を遮る声が私の耳元から聞こえた。
それは、紬さんの声だった。
「今、彼女に僕の気持ちを伝えていたところなので、いい記念になります。
あ、料金はたっぷり上乗せしてくださっていいので」
「ちょ、紬さん、恥ずかしいし、やめてよ。写真なんて、いいよ」
「え? だって俺の愛がどれだけ深いかを瑠依に語っている、まさにその瞬間だぞ?
カメラに向かって笑顔を見せている写真よりもよっぽど貴重だと思わないか?」
「だけど、恥ずかしいし」
「そんなの、見慣れれば恥ずかしくなんかないさ」
「紬さん……」
「今日一日でかなりの写真を撮ってもらうけどさ、きっと、そのどれよりもいい写真だぞ。
俺が誠心誠意、瑠依に思いを注いでる瞬間なんだから」
「そうはいっても……」
心から嬉しそうに話す紬さんに、私は何も言えず、小さくため息を吐いた。

