父さんの事故は、後継者の座を狙っている常務によって引き起こされたもので、既に警察によって常務と事故に関わった人たちは身柄を拘束されている。
来週開催される取締役会で、おじい様が後継者について発言するという噂が社内に広がり、常務一派は焦ったらしい。
常務の息子と私を結婚させて、創業者一族との縁を繋げば後継者の椅子に座ることも夢ではないと考えていた常務。
けれど、その思惑を察知したおじい様が密かに手を回し、私を葉月家とは縁のない男性と結婚させてしまった。
まだ結婚式は挙げていないとはいっても、既に紬さんと入籍を済ませている私を利用することは不可能だ。
自分が思い描いていた未来への流れが頓挫し、自分の息子をいずれは葉月グループのトップにという夢を諦めかけていた。
どうして自分の実力でその夢を叶えようとしないのか、どうして息子を一人前に育て上げて自力でトップへと昇るよう導かないのか。
「息子を社長に……」という考えにとりつかれた常務には、まともな考えは浮かばなかったらしい。
そして、万が一、子会社でどうにか仕事を続けている父さんが後継者として指名されるようなことがあれば、完全に自分の夢は途絶えてしまう。
それならいっそ。

