じっと紬さんの顔を見つめていると、紬さんは、ようやく重い口を開き、呟いた。
「瑠依は……茅人と結婚したかったのか……?」
「は?」
緊張しながら待っていた私に落とされた、紬さんの言葉。
それは、まったく予想していなかったもので、緊張に震えていた私の体全体から力が抜けていく。
ふっと足元が崩れそうになり、私の腕を掴んでいた紬さんの手が私の体に回された。
そして、あっという間にその胸に抱きこまれる。
ぱふっと飛び込んだ紬さんの胸の温かさを頬に感じながら、今聞いた言葉を反芻する。
「茅人さん……?」
日里さんとの愛情をあれだけ見せつけられたというのに、どうして私が茅人さんと結婚したいと思うのだろうか。
「紬さん、本気でそんなこと聞いてるの?」
「……いや、本気っていうわけでもないんだけど」
「じゃ、どうしてそんなことを聞くの? 第一、私が茅人さんに会ったのって今日でまだ二回目だよ?
なのに、どうして茅人さんと結婚したいなんて思うの?」
「だ、だよな。俺の思い過ごしだよな。
だけどさ、茅人が瑠依の最初の旦那候補だったって話した途端、落ち込んだ顔しただろ?
俺がこれだけ瑠依のことを大切にするって言ってるのに。それにさっきまで言葉だけじゃなく体でもこの思いをぶつけていたっていうのに、とっととベッドから出て行くし目は合わせてくんねーし」
紬さんは、拗ねた口ぶりでそう言うと、ぐぐっと私の体を抱きしめた。

