「あ、俺も日里もいるから、この際その……常務一派とやらをぶっ潰そうぜ」
やたら明るい茅人さんの声が病室に響き、日里さんが焦ったように茅人さんをたしなめる声も聞こえた。
「ばかっ。瑠依さんの気持ちも考えなさいよ。お父さんがこんな事故に遭ったっていうのに、調子にのってそんなことばっかり言わないの」
「だってよー、その常務ってやつのせいで……。むかつく」
「だとしても、それは茅人が関知することじゃないでしょ」
「まあ、そうだけどさー」
日里さんの尻に敷かれているとわかる二人の様子にくすりと笑いながら、そっと紬さんの手を握る。
そして、私の倍の強さで握り返してくれた紬さんから落ち着きと勇気をもらい、私は小さく息を吐いた。
父さんが事故に遭った詳しい理由、そして、私の結婚に関する事実。
私が知らずにいた全てをこれから知っていこう。
「父さん、早く良くなってね」
まだ遅くない。
これまで距離を作っていた私たち親子の関係も、築きなおしていこうと、強く思った。

