「ああ。常務が自分の息子と瑠依を結婚させようと……」
紬さんの言葉が途切れた。
話しづらいことだろうけれど、何が私の周囲で起きているのかを知りたくて、そっと顔を上げてその先を求める視線を向けた。
苦しげな表情で眉を寄せている紬さん。
よっぽど私に聞かせたくないことなのだろうか。
それほど事実はひどいものなのだろうかと。
不安で胸が痛くなるけれど、目をそらさず、ひたすら紬さんの言葉を待っていると。
「瑠依……。と、父さんがちゃんとしてなくて、ご、ご……めん」
不意に、父さんの力のない声がその場に響いた。
その声にはっと視線を向けると、シーツの上に置かれていた父さん手が、私に向かってゆっくりと上げられた。
「父さんが……弱くて、逃げ出して……瑠依を、ま、守って……やれなくて、ご、ごめんな……」
「父さんっ」

