「瑠依が病院に運ばれた時、理美も修の付き添いで病院にいたって、聞いただろ?」
「う、うん」
確かにそれは聞いている。
喘息の発作で病院に運ばれた修さんに付き添って、理美さんもあの病院に来ていたこと。
そして、私が診察室に運び込まれるのを見たと言っていた。
「あの後、理美は侑平さんから瑠依の生い立ちを聞いて、自分以上に寂しい女の子がいると思ったんだ」
両親と死別し、両親の友人だとはいえ他人に育てられた理美さんは、複雑な思いを抱えながら育ってきた。
良く似た境遇に身を置く私には、その立場の複雑さは手に取るようにわかる。
「理美は、実の娘ではないにしても、江坂家の一員として愛情を注がれ、物質的にも精神的にも不自由のない日々を送ってきた。だけど、瑠依は実の親が生きているにも関わらず疎遠になり、誘拐までされそうになったんだ」
「うん……」
「瑠依が理美の気持ちを理解できるように、理美が瑠依の気持ちを察することも容易だった。だから、自分が手にしている幸せな毎日を、瑠依にも手に入れてもらいたいと思ったらしい。
まだ小学生だった理美がそこまで考えるなんて驚きだけど、それほど理美はいろいろ考えて育ってきたってことだ」
探るような紬さんの目。
私がどう受け止めるのか、不安げに見ている。
それほど心配する必要なんてないのに。

