冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う




すると、紬さんの瞳には迷いが浮かび、どう答えようかと逡巡しているとわかる。

私の受け止め方に驚いたようだけれど、まあ、それも当然かもしれない。

血が繋がっていないとはいっても姉と弟。

これまでにも色々複雑な経緯があったのかもしれない。

「……紬さん?」

黙ったままの紬さんに声をかけると、紬さんはほんの少し眉を寄せ、観念したように肩をすくめた。

「ああ、あいつらは相思相愛。いつからなのかは謎だけど、子供の頃からお互いを必要として、愛し合いながら……姉弟として過ごしてきた」

「やっぱり。理美さんが修さんのことを話す時の表情を見ていれば、大切な存在だろうなって思うし。まあ、紬さんのぽろり発言がその裏付けになったのは確かだけど」

「うるせー」

「ふふっ。そんな単純な紬さんも、いい感じだよ。で、それなのに、どうして理美さんは私に修さんを紹介しようと思っていたの? 自分が愛している人なのに、自分以外の女性に託そうとするなんて信じられない」

「瑠依がそんな悲しい顔をすることないだろ? 確かに理美が修を瑠依の相手にって考えたのはむかつくけど、それは昨日今日考えたことじゃなくて、瑠依が誘拐されかけて病院に運ばれたあの日からなんだ」

「え……?」

予想外のことを聞かされて、私は紬さんを見つめた。