私を見つめる目が、探るように揺れる。
普段強気な姿しか見せない人のそんな不安定な様子に、私の心はふわりときめくけれど。
今はそれどころではなくて。
「そんなに驚かなくてもいいでしょ。私だって、それくらい気づくよ……まあ、まさか、って思ったけど」
「ああ、そうだよな。まさか、だよな。修は、理美の弟だから、な」
「でも、血は繋がってないし、戸籍上も他人でしょ? だったら問題ない」
私の言葉に、紬さんは苦笑し、ほっとしたように息を吐いた。
どこか安心したようなその様子を見ると、紬さんは二人の関係を私が受け入れるのかどうか、不安に思っていたようだ。
紬さんをそんな気持ちにさせることができる自分に、ほんの少しの優越感を感じたりもする。
ふふっと心の中で笑っていると、紬さんは私の背中に回した手にさらに力をこめた。
そして、驚く私に構うことなくぐっと引き寄せ、私をその胸に抱き込む。
「ちょ、苦しい」
「我慢しろよ。察しのいい嫁さんを抱きたくてたまらないんだから」
「そんなの、誰でもわかるよ。何度も理美さんと修さんの関係をぽろりと口にしてるんだもん」
「ぽろり、しないように気を付けているんだけど、瑠依には気が緩むんだよな」
明るい声が耳元に響く。
その声音に私の心も軽くなるようで、ごそごそと体を動かして、紬さんの背中に腕を回す。
そして、頬をぐりぐりと目の前の胸に押し付けて。
「気を緩めるくらい、いいよ。私は察しがいい嫁さんだから、格好つけてばかりで疲れなくていいよ」
くぐもった声で呟いた。

