冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う




「いたっ。な、何?」

私、紬さんの気を悪くさせるようなこと、言った?

「理美は理美で悩みながら、修の面倒をみていたんだ。
体が弱い弟の世話をして両親を助けるという自分の立ち位置を確保するために、あいつは必死だったと思う。
修を大切に思う気持ちも確かにあったから続けられただろうし、今でも修の幸せを一番に考えている。
それはもう、修が理美から離れられなくなるほど……。
いや、まあ、瑠依だって、未だにおじい様や彩也子さんから面倒くさいほどの愛情を注がれているだろ?」

言葉の途中で、何故か口調が変わったように思えたのは気のせいだろうか。

理美さんと修さんの関係をなかなかはっきりと口にしないことも気になるけど、その違和感もどこか曖昧で、自分の中ではっきりとした形にできない。

「それに、今日選んだブルーのワンピースにも、彩也子さんが瑠依に向けた愛情が感じられるだろ? 
瑠依がご両親から得られなかった愛情を思い出して寂しさを覚える必要もない。
理美と一緒だ、失くした幸せは、形を変えて瑠依を包んでるってこと。
今はこうして俺が瑠依を包んでるから、それだけで満足しろ」

紬さんは自分の言葉に頷きながら、私の頬をするすると撫でた。

大丈夫大丈夫と、そう伝えてくれるような仕草。