「理美の中には、江坂家に対する恩と、自分の居場所を作ってくれた修への感謝の気持ちが大きいんだ。両親を亡くし、引き取り手もなかった赤ん坊を育ててくれて、それも本当の両親以上に愛されたんだ。家族の中で自分だけが名字が違うということに悩む時間がないほど愛情を与えられて、そして大人になった。理美には、江坂の両親への感謝と尊敬の気持ちが溢れている」
「うん……そうだろうね。それは、私にも、よくわかるよ。だって、同じだからね、それは」
小さく笑う私に、紬さんははっと気づいたように顔を向ける。
「そうか、だよな。瑠依も、葉月家に引き取られたんだったな」
「引き取られたというか、連れてこられたというか……。私の場合は両親も生きているし、少し違うけど、理美さんの思いはわかる気がする」
軽い口調を心掛けたけれど、苦しさも感じて俯いた。
それまで幸せに過ごし、望んでいたに違いない人生を送っていた私の両親は、それを手放さなくてはならなくなった時、自分の身を壊さないようにするだけで精一杯だった。
夫婦として互いに支え合い、弱い部分を補いながら生きることを選ばなかった。

