そして同時に伝えられた自分の実の両親のこと。
自分は江坂家とは血縁関係も、戸籍上のつながりもない他人。
その事実を知らされた6歳の理美さんは、周囲の気遣いをよそに、冷静にそれを受け止めた。
幼いながらも自分の出生の事実に気付いていたと、紬さんに話したことがあるという。
そして理美さんは事実を知らされて以降も江坂家で育てられ、今に至る。
江坂家の中で、自分ひとりが『そのべさとみ』として生きていかなくてはいけない現実に卑屈になることもなく、家族思いのいいオンナへと成長し、誰よりも修さんを大切に思う『姉貴』となった。
紬さんいわく、『江坂の家のことを誰よりも考えている』らしい。
今は侑平さんが経営している幼稚園で『さとちゃん先生』と呼ばれ、毎日泥だらけになっている。
と聞かされても、モデルのように整った顔立ちとスタイルの彼女が汗にまみれ、泥だらけになっている姿はなかなか想像できない。
「理美さんって、奥が深い人っていうか、謎めいてるね。会うたび、聞くたび、印象が変わる」
「そうか?俺は小さな頃から知っているから、特に感じないけど。一つだけ言えるのは、赤の他人である自分を育ててくれた江坂家のために生きているってことかな。俺と瑠依の見合いの席に飛び込んできたのも、そのせいだ」
「あ、それ。そのことが気になっていたのに、なかなか教えてくれないから……」
結局、理美さんがお見合いの席に飛び込んできて紬さんと深い関係にあるように見せつけた理由はなんだったのか、わからないままだ。
それに、やたら修さんという弟さんの話題があがって、これもまた、不可解。

