理美さんは小さな頃から弟である修さんを溺愛していた。
三歳違いの修さんは生まれつき喘息に苦しんでいて、何度も発作を起こし、その度に病院に運び込まれていた。
成長とともにその症状は改善されるだろうと医者から言われても、理美さんにとってそれは気休めでしかなかった。
何もできない自分の目の前で、うまく呼吸ができず苦しむ弟に寄り添い、歯がゆい思いを抱えながら、ただ修さんの手を握り励ましていた。
そんな理美さんだってまだまだ子供だった時代、ご両親の注意が弟に向けられることを寂しく思わない訳もなく、「みんなが修のことばっかり」と拗ねることも多かった。
幼稚園の経営をしているお父さんと、その幼稚園で先生をしているお母さんは、理美さんと修さんに惜しみない愛情を注いでいたとはいっても仕事を抱えていては目が行き届かない時もあったはずだ。
そのせいか、成長していくに比例して、理美さんが修さんの面倒をみる機会は増え、理美さんが修さんの母親のような立場になっていった。

