冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う





「私は、家族とともにすごせる、幸せな未来が欲しくてずっと頑張ってきたの。勉強だって仕事だって。その夢を、紬さんが叶えてくれたんだから、これからの私はそれがずっと続くように、消えないように、頑張るだけ。紬さんを支えて、一緒に幸せな毎日を過ごすことが、私の未来」

一語一語ゆっくりと、紬さんにわかってもらえるように話した。

私が欲しかったものは、仕事での成功じゃなくて、幸せな家庭、そして愛しい家族だ。

それが今、私の手の中にあるのだから、それを大切にしたいし、紬さん一人に社長としての重荷を背負わせたくはない。

紬さんが社長としての責任を安心して果たしていけるように、私は支えていきたい。

私は決して、自分を犠牲にして会社を辞めるわけではないのだ。

今の私には、自分がこれまで求めていたものを手にした喜びにあふれている。

「だから、紬さんは気にしないでいいの。ただ私の側にいてくれればそれでいいから」

「……っ、いつの間にそんな殺し文句を言えるようになったんだ?」

私がつらつらと並べる言葉に、紬さんは顔を真っ赤にして狼狽えている。

「ふふっ照れてる紬さんってレアだね。待ち受けにしたいな」

「は?ばかか?」

「ばかでもいいもん。紬さんがこうして私を抱きしめてくれるなら、いくらでもばかになる」

ぐっと顔を近づけて、これまで抱えてきた思いを口にした。