冷徹御曹司は政略妻の初めてを奪う




「少しは落ち着いたか?」

「え?」

「もう、震えは止まったようだけど、まだ怖いか?」

「……あ、ううん……」

「そうか、なら、良かった」

ほっと吐息を漏らす紬さんに更に体を預けると、それを簡単に受け入れぎゅっと抱きしめてくれる腕の強さ。

その力に安堵を覚えながらも、申し訳ない思いもわきあがる。

紬さんは、誘拐されそうになった時の記憶に震えていた私を気遣い、その腕の中に取り込んでくれた。

そんな震えは、これまで何度も経験している。

今回もじっと耐えて、震えがおさまるのを待とうと思っていたけれど。

紬さんに与えられた甘いキスや、体を撫でてくれる熱によって、私の震えは違う意味を持っていった。

恐怖によって引き起こされた震えは、刺激による震えへと変わり、私は紬さんから与えられる心地よさに支配されていった。