すると紬さんは、拗ねていると簡単にわかる表情のまま、大きく息を吐いた。
「はいはい、理美のことも、修のことも、ちゃんと話すよ。だけど」
「だけど?」
紬さんは、口元を歪めながら、苦しげに目を細めた。
首を傾げる仕草もサマになっていて、私は見つめ返すことしかできない。
紬さんは、小さな子供に言い聞かせるように、ゆっくりと、そして優しく。
「どうせ震えるなら、過去の苦しみに震えるより、俺に抱かれる幸せに震えてろ」
ここには二人しかいないのに、誰にも聞かせたくないように、私の耳元にそっと囁いた。
吐息に混じる紬さんの甘すぎる言葉は、彼の思惑通り私の体を震わせる。
既に知り尽くされている私の敏感な場所を幾つも撫で上げ、目じりにキスを落とし、そして。
「瑠依がさらわれそうになった時、俺が守ってやりたかった」
低く苦しげに吐き出された声は、紬さんの悔しさがそのまま感じられて、更に私の体は震えた。
震えるだけでなく、私がこれまで味わったことのない歓喜に全身が熱くなる。
「紬さん……」
自分が一人ではないと感じたのは、初めてだ。
それはなんて幸せなことなんだろう。

