「紬さん、いい加減、はっきりと教えて?」
紬さんの頬を撫で、唇をそっと近づける。
自分からこんな風に距離を縮めるようなこと、滅多にしないけれど。
過去の苦しい思い出が私の心を麻痺させたのか、妙に強気な笑顔も作ってみる。
何度も触れ合ったことのある愛しい唇に、いよいよ……となった時。
私はふっと笑い、動きを止めた。
「お見合いの時に理美さんが特別参加した理由と、紬さんが修さん修さんって言って勝手に不安がってる理由を早く言いなさい。じゃなきゃ、キスしてあげない」
「は?」
「理美さんが私と修さんと結婚させようとしていただとか、ただでさえ私の今の状況はわからないことだらけ。その中で私は結婚して苗字も変わって、あ、これは嬉しいから誤解しないで。でも、何もかもすっきりさせてから結婚したい。じゃなきゃ、初夜もなし」
「おい、瑠依、初夜ってとっくに済ませているだろ?夕べだって、かなり乱れていたし俺の背中には赤い爪の痕……」
「う、うるさい。結婚式の日の晩、紬さんとシないって言っているの」
「シないって、俺は我慢できないぞ。っていうより瑠依だって我慢できないんじゃ……」
「な、何をっ」
私が仕掛けたことだとはいえ、二人で過ごした密で甘い時間を口にする紬さんの口を思わず手でふさいだ。
その手はあっという間に紬さんの手に掴まれて、気付けば紬さんの胸に抱き寄せられていた。

