結婚式当日、私はおじい様と一緒に式場であるホテルに向かうことになっている。
ホテルに到着すれば、すぐに白無垢に着替えるのだから、当日はどんな洋服でもいいだろうと思っていたけれど。
彩也子さんがこだわるのなら、まあ、新しい洋服を用意してもいいか、そんな程度の思いで百貨店に行ったのは、間違いだった。
彩也子さんには彩也子さんの熱い思いがあり、
『サムシングブルーっていうじゃない?瑠依ちゃんは神前式だから細かくこだわることもないとは思うけど、やっぱりブルーって縁起が良さそうだから』
そう言い終わる頃には数着のブルーのワンピースが彩也子さんの手にあった。
「え? こんなにかわいらしいデザインなんて、着たことがないんだけど」
「いいじゃない。披露宴で着るウェディングドレスなんてもっとごてごてしていてリボンもパールもめいっぱいついていたわよ」
「あー。あれは紬さんが自分の好みで決めたから」
「それに、色ドレスだってレースがひらひらと……」
「それも、紬さんが絶対にこれだって言って即決したの」
「あら、紬さんは、瑠依ちゃんをお姫様に変身させるつもりなのね。じゃ、このワンピースなんて紬さんのストライクゾーンど真ん中なんじゃない?」
弾む声と共に彩也子さんが私に手渡したのは、水色のシフォンワンピース。
パフスリーブとリボンベルトだけでも可愛らしいデザインなのに、リボンにはラインストーンが施されていてきらきらしている。
スカート部分は多めのプリーツでふわり。
女の子が喜びそう、というよりも、紬さんが好みそうなデザインだと、一目でわかる。
私がこれを着ている姿を見たなら、紬さんはきっと自分の為に選んだと思うに違いない。

