「さ、小娘から卒業するためにも、結婚式の日に身に着ける洋服を買いに行きましょう。
言っておきますけど、私好みに仕上げますからね」
提案ではなく、決定事項を口にした、というような強い言葉に、私は反射的に頷いた。
「瑠依ちゃんの母親がわりとして色々楽しませてもらったけど、今日ほどそれを幸せに思えることはないわ。結婚式当日は忙しくて泣く時間もなさそうだけど、今日は泣いちゃうかもね」
彩也子さんはくすくす笑い、伝票をすっと手に取り席を立った。
まるで瞳に浮かんだ光るものを隠す様に背を向けて歩く後ろ姿を見ながら、私も目の奥が熱くなった。
母親代わり。
そう思っていたのは私だけではなかったと知って、溢れる思いがこぼれ落ちないようにきゅっと唇をかみしめた。

