「私が嫌がることはしないし……あ、強引過ぎて困る時は多いけど、後で考えれば私のことを思ってくれてのことだとわかるし。それに、入籍もして、家族だし」
ぽつぽつと、俯きながら口にした言葉。
彩也子さんの気持ちを軽くするために言ったはずなのに、それは自分の本心だと、気づく。
顔が熱くなる。
彩也子さんを見れば、嬉しそうな笑顔を浮かべていて、更に私の体温は上昇する。
自分の言葉に照れくさくなって、俯くことしかできない。
「ねえ瑠依ちゃん。私の人生はそれほど不幸じゃないのよ?」
「え?」
そっと視線を上げると、彩也子さんがほんの少し首をかしげ、何かを思い出すような表情を浮かべていた。
「大人になったばかりの小娘に心配されるほど、私は自分の人生を無駄に過ごしたわけじゃないってことよ」
「こ、小娘って……私?」
「他に誰がいるのかしら?言っておきますけどね、小娘瑠依ちゃんに負けないくらい、私も自分の人生を大切にしているのよ。私のことは心配しなくていいから、紬さんとの結婚生活を楽しみなさい」
大人の余裕だろうか。
言葉からも瞳からも自信が溢れていて、私は何も答えることができない。
小娘と言われて反論したい気持ちもあるけれど、それ以上に彩也子さんには敵わないと思う。

