そんな私の思いに気づかないまま、綺麗な笑顔を見せる彩也子さんは、私のストールをさらりと指先で撫でた。
「ストールで隠さなきゃならないほどのキスマークを付けられているのに、甘くない夜を過ごしたなんて。信じられないわね」
「彩也子さん、あの、からかうのは止めてくださいね。確かに紬さんとはその、仲良くやってますけど、それに、夕べは私のことをずっと離してくれなかったですけど」
「離してくれなくて、ずっと愛情を与えてくれたんでしょ?瑠依ちゃんの満足そうな顔を見ていたら、そんなのすぐにわかるわ」
「満足なんて……」
確かに、満足してるんだけど。
夕べの紬さんは、ストッパーが外れたように私を抱き、そして自分の思いを素直に見せてくれた。
それは結婚式の内容についてだったり、私が普段使っているシャンプーを一緒に使いたいだとか、朝、一緒に仕事に出かけたいだとか。
生活感あふれるものから私の判断だけでは決められないものまで、細々と要求してくる。
毎晩私を抱きたいというのもその一つだ。
私以上に忙しい紬さんのどこにそんな体力が残っているのかと不思議に思うほど、私を求めてくれた。
ベッドの中で苦しげに呟く言葉は私への愛情に満ち、体温を分け合いながら感じる重みは紬さんの決意にも思える。
そして、ストールで隠さなければならないほどの赤い花を私の体に咲かせては、満足げに口元を上げるその表情。
私は恥ずかしさも照れくささも全て忘れ、縋りつくように紬さんの体を抱きしめて求めた。
既に私の体は紬さんの好み仕様に作り替えられていると言ってもおかしくないほどだ。
そんな夜を過ごして、満足しないわけがない。
抱かれることがこんなに素敵なことだと教えてくれた紬さんに、どっぷりはまるほど、私の心も体も、満足している。
こんな気持ち、彩也子さんにはさすがに言えないけれど。

