側にいろと言って体温を与えてくれる、愛しい人。
私を大切にし、不幸にはしない。
そんな言葉を与えられても、私だけが紬さんを愛している限り、私は決して幸せにはなれないのに。
私を安心させるために、そして、間近に迫った結婚式を無事に終える事ができるようにと、優しい言葉を連ねるのだろうけれど。
そんな優しい言葉を並べられるたび、私は悲しみの悲鳴をあげていると、紬さんはきっと気付いていない。
不幸じゃないということと、幸せだということは、同じではない。
私を幸せにするというなら、私を愛して欲しい。
大切にするだけではなく、心から愛して欲しい。
けれど、それを言葉にする勇気がない。
私が不幸にならないよう心を砕いてくれる紬さんに、これ以上の重荷を背負わせることはできない。
それに、夫婦となり少しずつ心を通わせ始めた今、愛情を求めたことによって二人の間に溝を作ってしまうことが怖いのも確かだ。
寄り添い、一緒に生きていければいいと、綺麗ごとで自分の気持ちに折り合いをつけられるほど達観したわけではないけれど。
自分の本心は心の奥にしまいこみ、紬さんの胸に体を預けてぎゅっと目を閉じた。
今は、紬さんの温かさに一番近い場所にいられるこの幸せだけで、満足しよう……と納得させながら。

