「ねえ、紬さんは大丈夫なの?」
「俺は好きな事をしているだけだから、疲れなんて平気だ。忙しいことには慣れてるし」
苦笑しながら、私の体を抱きなおす。
横抱きされて、何度か唇にキスを落とされて。
そのたびに、「瑠依に何かあったのかって、マジ焦った」とか「電話に出たくないほど、結婚が嫌なのかって落ち込んだ」そんな言葉をぶつぶつと言っている。
まるで私が紬さんの心をとらえているのではないかと勘違いしそうなほどの甘い言葉に、私はドキドキする。
紬さんの顔が、更に私の側に寄り添うように頬と頬が触れ合って、紬さんの腕がぎゅっと私を包み込む。
それはかなりの力強さだ。
「つ、つむぎ……? あ、あの」
この状況、嬉しくないわけがない。
好きだと、愛していると気づいてしまった、大切な人から抱きしめられて、おまけに電話に出ないだけで慌ててくれる。
信じられないし、まだ夢の中にいるようだ。
「瑠依、俺は強引にお前を俺の戸籍に入れて縛ったけど、後悔はしていない。これが最善だったと思ってる。瑠依が戸惑っているのはわかるけど、せめて俺を不安にさせる事だけは、しないでくれ」
「最善……不安……?」
「ああ。瑠依が俺に愛情を持っていないのはわかってる。だけど、いつも瑠依のことが心配で、その安全を確認しておきたいと思っている事だけはわかっていてくれ」
私の目をじっと見つめながらそう呟く紬さんの表情はあまりにも真剣で、思わず息を止めた。
告げられた言葉の意味に戸惑い、理解も出来ない。
それに、私が紬さんに愛情を持っていないと言われたことに胸が痛む。
私に愛情を持っていないのは、紬さんの方なのに。
どうしてさらりとそんなことを口にできるんだろう。

