「瑠依? 寝ぼけてるのか?」
私の様子に不安を覚えたのか、紬さんは、ソファに腰掛けるとその膝に私を横抱きにした。
抱きしめられる強さは、夢にしてはあまりにもリアル。
すっと落とされたキス。
手のひらに、ではなくて唇に落とされたキスは、私の意識を完全に呼び戻すには十分なものだった。
「え……夢じゃないの?」
唇の温かさを感じ、思わずそう呟いた。
「は?」
紬さんの呆れた声に、これは夢じゃないと、実感する。
「私、えっと……寝ていたの?」
「ああ、何度電話しても出ないから慌てて帰ってきたらソファで眠っていたんだ。心配させるな」
「あ、ごめんなさい……。紬さんが帰ってくるまで待っていようって思っていたんだけど」
「いや、いい。結婚式の準備と仕事で疲れているんだろ。かなりハイペースで進めているから、瑠依の気持ちも追いついてないだろうし」
「それは、紬さんだって」
紬さんの方が、仕事も忙しいし、結婚式の準備だってほとんど一人で請け負って進めてくれている。
私よりも疲れているに違いない。

