わかるというか、もう見え見えだけど。
あまりに自分とは違う積極的な彼女の様子に茫然としながらその場に立ち尽くしていた私は、江坂さんが鋭い視線で私を睨んでいるのに気づいてはっとした。
江坂さんは隣にいる女性をなんとか振り払おうと体をずらしながらも、彼女のホールドが強固なのか、なかなか逃げられずにいる。
さっきまで私を見下すような言葉ばかりを並べていた男性が困っている姿は新鮮で面白い。
思わず、くすりと笑みもこぼれる。
「おいっ、る、るいっ。この女どうにかしろ。俺の婚約者なら突っ立ってないでこの女を俺から離せよ」
「はあっ?」
突然呼び捨てにされて、婚約者だと叫ばれて。
今までの私への拒否感は一体どこにいったんだ?
呆れて何も言えず、江坂さんの不機嫌極まりない顔を見ながらも、目の前の展開はなんだか面白かった。
「婚約者って、誰のことかしら?」
ふふん、とわざとらしく首を傾げた私は、それまで好き放題言われていた仕返しとばかりににやりと笑った。
美女に捕まった男前、どこか可哀そうにも思えるけれど、私には関係ない。
散々見下すような言葉を連ねては私を傷つけたくせに。
今更婚約者だなんて、ふん、だ。

