この男は、どこまで自分に自信があって、何を根拠にここまで強気になれるんだろう。
確かにその見た目の良さは目をひくけれど。
人を見下して、自分の感情を最優先する男を、どうして好きになると思うんだろう。
バカじゃないの?
力が抜けた。
「帰ります。帰ってすぐに、おじい様にはお見合いお断りするって言っておきますからご安心を。
そちらのおばあ様云々は、そちらで解決してくださいませ」
低い声で睨みつけると、目の前の男は眉を寄せた。
私がこんなに強く反応するとも思わなかったのかもしれない。
世間から見れば、私は裕福な一族のお嬢様だから、おじい様の言葉に従うばかりで自分の意思は持たない人形だとでも思っていたんだろう。
けれど、私は人形ではない、ちゃんとした感情も未来への夢も持っている一人の女だ。
「おじい様のお知り合いなら、あなたは一流の家の出なのかもしれませんけど、人に対する態度は三流以下ですよ。もう少し常識を学んでからお見合いに臨まれるべきです。
あなたが今結婚しても、相手の女性を幸せにできるとは思えません。それでは失礼します」
特に気をつかう事もなく、感情もこめないまま儀礼的な挨拶をして、私は立ち上がった。
そんな私の様子を身じろぎもせずにただ見つめていた男は、苦笑しながらふっと息を吐いた。

