私の初恋は、小学校6年生。今まで何度も同じクラスになってきて、いつも一緒に居た。なのになぜか、好きになっていた。
「おっはよぅ!佳奈!」
おちゃらけた感じで挨拶をしてきたこいつこそが、私の初恋の人。
(まぁ、現在進行型なのだけど…)
名前は『三月 太喜-みつき たき-』
眼鏡をかけていて、黒髪の若干背の小さい男の子。
「おはよ、太喜。珍しく早いね」
私は、私にとって精一杯の笑顔を作る。
それでも意地っ張りな私は、あまり笑顔になりきれていないらしい。
「そうなんだよ!聞け佳奈!今回描いたイラストめちゃくちゃ上手く描けたんだよ!」
そう言ってスクールバッグから取り出したのはスケッチブック。太喜は将来、漫画家かイラストレーターになりたいらしい。だから何時も私に描いたイラストを見せてくる。それが素直に嬉しいなんて言えるわけないけど。
「どれどれ、見てあげようじゃないの。偉大な山本様が」
そう言いながらスケッチブックを手に取ると、そこには女の子の絵が描いてあった。その女の子は金髪の髪の毛をロングにしていて、服装は黒っぽいワンピだった。
「ヘェ〜、上手いじゃん!誰か知らないけど」
嘘。本当は知ってるんだ。この女の子は太喜が好きなアニメに出てくるヒロインの子。何を隠そう、太喜は極度のアニオタだ。本人も認める程の。そんな太喜は何時も好きなキャラクターばかり描いてくるため、どんなキャラが好きなのか覚えてしまったのだ。
それからは簡単。ただそのキャラの名前を調べて検索。特に女の子の場合はしっかりと調べる。だって、キャラと言っても好きなのは変わりないから。それがタイプだと思うから。
おかげで私はすっかりアニオタの仲間入りを果たしちゃったんだ。すごく嫌だけど。
「だろ?!こいつさ、俺のお気に入りなんだよ!だからチョット力いれちゃったわ」
知ってる。
分かってる。
だから他の女の子の話はしないで。
そんな願い、彼女でもない私が言えるはずもないんだ。でも、いくらキャラと言っても嫉妬してしまう。
どうしてこんな子が太喜に好かれるの?
私だって頑張ってるのに…
私の方が太喜の事は好きなのに…
そんな事を考えていると、気づいたらすぐ目の前に太喜の顔があった。
「どうした佳奈?調子でも悪いか?」
「〜〜〜っっつっ!//////」
心配そうな太喜の顔。それを近くで見せられてドキドキしない訳がない。
顔に熱がこもって行くのが手に取るように分かる。絶対今顔赤い…‼︎‼︎‼︎
「い、いや、なんでもない‼︎」
必死に手で顔を隠しながら答える。
太喜は一瞬「?」という顔をしたけど、直後にチャイムが鳴ったのですぐに普段通りに戻った。
「そっか、何かあったら言えよ?気が向いたら相談に乗ってやるから」
「気が向いたらって何よ‼︎」
二カッと悪戯が成功した子供の様に無邪気に笑った顔にまた胸が高鳴った。
(好きだよ… 早く気づいてよバーカ)