私の住む地域は、何故か金持ちの多い地域だった。

私は違うが。

だから、小学校時代の友達にはすごい子たちがたくさんいる。

将来の水泳オリンピック選手

プロレベルの活動をするイラストレーターのたまご

プロのピアニストの子供

自らのコンサートを開けるヴァイオリニスト

特別な才能を持った人間の1人に、転校してきてからずっとクラスが同じの二階堂蒼士郎がいた。

二階堂くんて、背高くてかっこ良くて、性格も良くて…ほんといいよね!

二階堂くんのこと…好きみたい…。

野球が強い二階堂は、背も高く、イケメンで、割としっかりしていて、まあとにかくモテた。

バレンタインデーに、紙袋いっぱいにチョコをもらってくるようなやつだった。


奴は、アメリカへとびたった。


野球だかの留学という噂をきいた。
私には実際関係のないことだった。
イケメンには興味は微塵もなかった。

そのまま私達は小学校を卒業し、中学校へ進み、それぞれがある種の傷や悩みを負い、中学校を卒業し、違う道へと進んでいった。

私は、ちょうど心に刺し傷を負っていた。
傷口は狭く小さいが、深い深い傷。
その傷があることを、地元のみんなは知っている。
その傷をおそらくできるだろう新しい友達に見られたくなくて、わざわざ地元からとても遠い進学校を受けた。

私は王子様のような人種が、大っ嫌いだ。