「とも・・・ともー・・とーもー!」


母の呼ぶ声で私は目が覚めた。


(そうだ、私チップを撃って・・・)


「は・・・はーい、なーにー?」


「もうご飯だからおりてきなさーい」


私は時計を見やった。針はちょうど8時をさしている。帰ってきたのがほぼ6時。となると、

私はその間の2時間程、気絶していたということだ。こんな副作用があるとは・・・説明書はもっと真面目に

読むべきだったと少し反省し、下に向かって分かったと言い返した。


辺りを見回してみた。ここには、ユーレイはいないようだ。ならばと思い外を窓から見下ろした。するとー

いなかった。どこにも見えない。見えるのはいつもの光景、そして、散歩の近所のおじさんだけだ。


(なーんだ、インチキか。どうせそんなことだと思った)


私は気絶していた2時間にむなしさを感じ、ため息をついた。カーテンを閉め、下に向かおうとした。


が、私は何かがおかしいことに気づいた。


(あれ・・・あのおじさん、この前死んじゃったよね?)


そう、あのおじさんは先月、心筋梗塞によって急死し、葬式もすんだはずなのだ。ということは・・・

私はもういちど外を眺めた。おじさんはさっきより数十メートルさきを歩いていた。生きていた頃となんら変わりはないが・・・


(足が・・・無い・・・・・)


ゾクゾクした。本当にユーレイが見えるんだ。見えるようになったんだ。少し恐怖を感じたが、それよりもまぎれのない

ワクワク感が、私を支配していた。 その後、何が起こるかもしらずに。