「ともか、あんたもチップうめた?」

「まだ。だってこわいじゃん」

こんなやり取りが日常で行われるようになったのはつい最近のことだった。

2042年の春ー ちょうど4ヶ月程前、ルター株式会社という聞き慣れない会社からある新製品が発売され、
大ヒットとなった。

その名も―

「ゴーストチップ A-01」

これは、脳に直接埋め込む小型チップで、これを埋め込むと霊・ゴーストが見えるようになるという大発明だ。


ピストル型の装置で脳に打ち込むのだが、なんでも「boneスケルトン」とやらを搭載していて、
痛みが全くないらしく、大流行した。


「あんたも早く埋めないと、流行遅れになっちゃうよ」

この子は、私・木ノ原朋華の同級生、松田奈々子 だ。
誰よりも先にチップを埋めたらしく、この中学にはやらせたのも奈々子だといえよう。


そのおかげでクラスの半分以上がチップをうめこみ、何もない空間を見て盛り上がっている子達がふえた。


「うーん、一応考えとくよ」


私は素っ気ない返事を返して家に向かった。