あんな風に言って良かったのかな。
皇の大事な人なのに。


「だって、初恋の人でしょ?」

「は?」


思い切って言ったのに、なんだかすごく呆気にとられた顔をされた。
彼は思い出すように顎に手を当てる。小首を傾げる姿がちょっと可愛くて、似合わない。


「……ああ、お前確かあの時も言ってたな。俺にキレた時」


そうだっけ。そうかも。
恥ずかしすぎて記憶から抹消したい。
赤くなったり青くなったりな私の傍で、彼がぼそりと呟いた。


「……俺の初恋、舞華じゃねぇけど」


……え?
信じがたい発言に、私は城ノ内副社長を見上げた。

「舞華さんじゃ、ない?」

彼はコクリと頷く。

「お前の思い込みはいっそ賞賛に値するな。それだけの妄想力があれば、三流作家くらいにはなれるかもしれないぞ」

ワケのわからない褒め方(けなし方?)をされてますます私は混乱する。

「だって、初恋の人は白雪姫のイメージって」

「イメージ、じゃなくて白雪姫なんだよ」


……よくわからない。


首を傾げる私を面白そうに眺めて、城ノ内副社長は語り出した。