『最初から知ってた』
『なんで!どうして!どうやって!』

彼の衝撃の発言に、私はすっかりパニックになって副社長を問いつめたのだけれど。
結局その場では、なぜ城ノ内副社長が私のことを知っていたのかは聞かせてもらえず。

『まあ、そのうちな』

なんてはぐらかされちゃった。
もやもやしたまま私は今、テレビ局に来てる。そう、仕事は待ってくれません。


「あら、梶原さん。よくノコノコ出てこられたわね」

好戦的に私に掛けられた声。

「舞華さん……」

「どうやったのか知らないけど、あのプロデューサーのご機嫌を損ねなくて良かったじゃない」

馬鹿にしたように笑う彼女は、私の過去については知らないみたい。

「舞華さん、昼ドラとか向いてるんじゃありませんか?」

う~ん、このキャラ活かせる気がするんだけどなあ。

私の呑気な発言に、舞華さんは眉を吊り上げた。

「何言ってるのよ!いい加減、皇から離れたら?」


「――それを決めるのは俺だ」


突然割り込んだ声に、舞華さんが弾かれたように振り返る。
その視線の先にこちらへ歩いてくる長身の影。

「皇……」

そう、今日私はここに、城ノ内副社長と一緒に来てたんだ。


「まったく、すずに聞いたときは驚いたぜ。お前が雪姫を嵌めるとはな」

城ノ内副社長は呆れたように舞華さんを見た。
彼女は一瞬ひるんだものの、すぐに反論する。

「何よ!仕事のためにプロデューサーと寝るような女を庇うの?」

舞華さんの鋭い言葉に、副社長はふ、と笑みを返した。