おおっ、王子様スマイルだわ。
なんて思って、眩しさに目を細めてしまう。
うん、さすが稼ぎ頭。


｢いや、ありがとう。この作品にも監督にもすごく思い入れがあって、製作にもなるべく関わりたいんだ。他のマネージャー達は皆わかってくれなかったから」

そう淋しそうに零した朔の顔をまじまじと眺めてしまった。

……確かに、俳優の出る幕ではない。
撮り終えてしまえば映画は監督のものだって考えのスタッフも居るし、俳優が仕上げに関わるのを嫌がられる場合もある。
特に朔みたいに人気があってスケジュールいっぱいの俳優には、余計な時間だと言われるのもわかる気がするけど。

でも見ちゃったのよね。
記録のために前のマネージャーが撮っていた撮影の様子。
朔は監督と何度も議論しながら演技してた。
私なんかでもわかるくらい、熱意を持って仕事をしていたから。

真面目な人なんだなあ。
誰かさんとは大違い。

……ここで引き合いに出すのもどうかと思うけど、私！！

私みたいな代理マネでもできることがあるなら。
せめて彼らが気に病まないように、

「俳優の希望を叶えるのもマネージャーの仕事だよ。しっかり稼いでくれるならね？」

と、冗談めかして言う。


「りょーかい、マネージャー」

つられたように朔が微笑んだ。

なあんだ、ちゃんと良い奴じゃん。

ありがとう、って言われたことが嬉しくて。
私も微笑み返した。