君の名を呼んで

「“私”を見てないのはあなたのほうです……!
名前を呼ばない、あなたを孤独にしたまま自分だけ幸せで構わない、そんな女でいいなら私じゃなくてもいっぱいいる!
あなたの寂しさを埋めるだけの女なら、たくさんいる!

でも私はそれじゃ嫌なんです。
あなたにも、心から笑って欲しい……」

自分でももう何を言いたいのかわからなくて、ボロボロと零れた涙を拭うのも面倒になる。
こんなふうに責め立てたって、彼には届かないと分かってる。

それでも、言わずにはいられない。


「城ノ内副社長が本当に欲しかったのは私なんですか?
私の形をした、あなたの言うことだけを聞く女?あなたを傷つけない女?

私はそんな優しい女じゃない!
そんな風にはなれない!

舞華さん――初恋の人にでも頼んで下さいっ。


だから」


副社長の顔を見た。

ああ、久しぶりに目が合ったな……。


その目に

こんな瞬間でさえ、
心臓がドキンと跳ねた。