一気に限界を突破した感情は、憤りなのか、悲しさなのか。


「身代わりだか双子だかなんだか、そんなこと私には知ったこっちゃないんですよ!私にとって“コウ”は城ノ内皇、あなた一人なんですから!!他と比べるべくもない、あなただけ!!」


城ノ内副社長の顔は見られずに、ただ言葉が溢れた。

どうせもう、隣で聞いてはもらえないんだから。
なら言いたいこと言ってやる!


「いつまで一人で辛い思いをし続けるんですか!いつまで自分を傷つけるつもりですか!ドSと見せかけてホントはドMですか!?

いい加減乗り越えなさいよ!」


名前っていうのは
親が一番最初に子供に与える愛情でしょう?


その人を名前で呼ぶのは
愛情と独占欲と慈しみと

そんなものでできた、甘い言葉なはず。


「私で最後にして欲しかった!もう辛い思いをして欲しくなかった!
でも、私でもダメなら、誰があなたを救えるの?」


副社長は黙って私の言葉を聞いている。

その沈黙に、負けたくない。