その後、しばらくして舞華さんは会場に戻ってきたけれど、彼はパーティーが終わる直前まで会場には戻らなかった。
二人の姿が目に焼き付いたままの私は、副社長の傍にいられず、会場の挨拶まわりに専念して、複雑な思いを振り払おうと精一杯だった。

終了後、すずと朔は家が近い他のマネージャーが送って行くことになり、現地解散となって。

私はいつの間にか戻ってきた城ノ内副社長を車に乗せて、自宅まで送る。
車内では一言も喋らず、ただ窓の外を見つめる彼。


何も、話してくれない。
踏み込ませてくれない。

ーーそれが、もどかしくて。

私は、頼ってもらえないのかな……。



やがてマンションに着くと、副社長はポツリと呟いた。

「今日は泊まっていけ」

「……」


傍に居たくない気持ちもある。
これから彼にどう扱われるか、予想できてしまう自分がいる。
けれどこの人を独りになんてしておけなくて、私は大人しくついていった。


彼の家に入った瞬間、噛みつくようなキスをされて、ボタンを外すのも面倒なのか、裾から無理矢理に侵入させた手に身体中を弄られる。
私は彼の顔を見上げた。


ねぇ、城ノ内副社長。
いま、私を、見てる?


彼の心の中が荒れ狂っているのを感じて、私はしばらくされるがままになっていたけれど。


このままじゃ、ダメだ。
こんなの、ダメだ。


迷いを振り切って、私はゆっくりと口を開いた。